チェリービールの話(その5)

調理器の事も書き残さなきゃあ。「鉄製はいかんよ。銅製が良いけど値が高いし熱の伝わりが早すぎるのでまあステンレスにしとけ。お玉杓子は木製がいいやろ」老婆(ラオポ)は威張っとります。しかしこの人の教えに従う他ない。

「それよりホーロー鍋ならどうだろう」中国の地方の市場には未だホーロー製品が安く出回っております。ホーロー製品の洗面器でしたら200円くらいで深鍋よりもずっと加熱撹拌が容易でした。サクランボを煮るのに洗面器使っているとは老婆(ラオポ)に話していません。

皆さま。どんな屁理屈つけたところでチェリージャムなんかをルミカと言う会社の事業に組み込むのはナンセンス。ところがこれが大連市から旅順特産品にしてくれとの要請。更に旅順名物チェリービールを誕生させるならそれは立派な社会貢献ですよね。隠れてゴソゴソやってたのが突然桧舞台に出ようとしてます。

仮にとんだ愚行だったとしてもこの作業から予期せぬ収穫、そうセレンディピティ(ついでのお駄賃)が出そうなのです。皆さま「嘘だろう!」って?まあ聞いてください。

[男の夢工場誕生]

さあ真空脱水装置エバポレーターを手に入れましたがこの装置の置き場と作業場所確保が大変でした。実験室の隅っこ、中洲若子が店を閉じた「赤ひょうたん」、島興こしとやらで取り組んだ「宗像大島」の施設をさまよい最後は本社駐車場にアイパオを建てて中洲ジャム工場を布告しました。

欧米の大抵の家庭では男の仕事場としてのガレージが有って工作機械も揃え男達は自分の威を保っています。しかし日本の男はと言えば狭い家に書斎も仕事場も無く無気力な邪魔者に身を堕落させているのです。中洲士郎もその一人でした。「妻子の為に男よ立ち上がれ!」そこに一攫千金を夢見る亭主の隠れ家「男の夢工場」アイパオが登場したのです。

初代アイパオはスチールチャンネルにビニールシート。

2代目はPVC異形パイプにPC(ポリカーボ]外装

[チェリーキャッチャーの発想]

果物の収穫はどれもこれも手作業と決まっています。枝の剪定も大変な作業です。旅順ではチェリー栽培で貧しい農民の多くが職に有り付きました。しかし4m以上の高い枝からの収穫は難儀で危険です。人手不足も加わり果樹の高所は未収穫チェリーだらけ。何かいい道具を開発しなきゃ。

5年ほど前青森のSさんの依頼で雪庇落としを開発しました。BiRod7500です。これを進化させたBiRodセットでは高所撮影や瓦礫の中、水中撮影もできるので人気商品に育ちました。次にBi見逃サーズとなるとこのBiRodの先にカメラと熊手と収納籠が付き手元のタブレットの映像を観ながらキャッチャーを操作してチェリーを収穫するものです。

アイロッドの話(その6)

CP+2019横浜見本市2日目です。

今回のルミカブースのテーマは「宝物探し」

こんな少女っぽい看板に惹かれて1人の男がブースに入って来ました。そしてハタノに耳打ちしておりました。後でハタノが言うに「実は私は河川の河口で宝石(何の宝石かはここでは秘密)を探すのがサイドビジネス。宝探しとBi見逃サーズ。これって僕の秘密を嗅ぎつけたのかと思ったよ。360°水中カメラがあれば川底に光る宝石を簡単にゲット出来そう。是非使わせて貰う。な~に一個見つけりゃ簡単に元が取れるよ」と。

世界一のドローンメーカーDJIとの関係取付に策を講じました。中洲が7年ほど前深圳をウロついていた頃は見本市でも目立たなかったのにご存知の通り現在のDJIは2万人が働く巨大企業。日本にも支社があって多くの日本人がプライド高く働いており中々簡単には商談出来ないのです。

DJI社が昨年暮れにリリースしたオズモポケットはジンバルが付いた超小型スポーツビデオカメラ。すごい新製品で世界の話題をさらっています。このオズモポケットとBiRodがコラボ出来たら面白い。ルミカダイレクトで奮闘中のイシバシが喜ぶだろう。そこで一計を案じたのです。

女性を口説くにはあっと驚かせるプレゼントを用意する事です。ビジネスだって同じ。相手が欲しがるモノを手品のようにサッと出すのです。

オズモポケットの目玉はスマホ接続。ダイレクトは出来ているが有線接続での遠隔操作は未だで勿論防水ケースも完成していない。普通のUSBケーブルでは全く役に立たないのでこの2週間古老ドガワが特殊ケーブルを自作、ヒラタが3D加工で手作りの防水ケースを中洲を喜ばせようと形にしました。

「嗚呼、残念だがまだ動かない」とのヒメノの悲嘆をよそに中洲は執念でこれを動かし会期の間中この遠隔操作に没頭したのです。そして企み通りBiRod4500の先端にオズモポケットを載せHUAWEIのモニターに会場光景を映し出しながらDJIのブースへ参じました。

スローで申し訳ないですがジンバルでレンズが揺れないのとオズモのカメラのシャープな映像をご覧ください。

「あのオズモポケットが竿の先に載って映像が出ている」さあ皆んな大騒ぎ。DJIのブースからは営業と技術の責任者が飛び出して来て「BiRodか!ウチの者たちはドローンよりも便利で凄いって評判だが・・・ウチのオズモがどうしてケーブル操作できるのだ。放送局からも要請があるがどうにもならんかった。それがどうして・・・」

だが喜びは束の間。重大なオズモの欠陥が露呈しました。手元からケーブルで竿先の小さなオズモに給電すると撮影がSTOPするのです。しかも撮影中はカメラの電源がモニターに流れて20分程しか撮影できない。この問題が解決できれば逆に何日でも連続撮影が可能となり強力な防犯カメラが誕生する。オズモの回路とAPPを変更しなければならないのか。難しいなあ。

夕方にはずっとルミカのBiRodを応援して頂いている高松氏がネットに紹介してくれました。

https://creators.yahoo.co.jp/wackys/0300014657

 

アイパオの話(その29)

CP➕2019横浜が開幕しました。ルミカのBiRodがこの見本市で衝撃のデビューを果たしたのは4年前の2015年、今回が5回目の出展でBi見逃サーズの発売開始です。

シトミ達女性陣がブースデザインに趣向を凝らしておりました。勿論惜しみなくお金を使って。アイパオを展示館として使っているのは男共いわく「中洲への忖度」だと。

カメラの見本市なのにアイパオで奇怪なブースをこさえグランピングアイパオ短縮して「グランパオ」もコッソリ提案しました。チラシは前日にイノウエが作図ソフトを器用に操ってグランパオを設計、ミチワキがもっともらしくデザインしました。皆さん本当に器用。

グランパオは中洲一人PRしましたが反応は有りません。だがブースのアイパオは注目されました。特に子供連れは宝物探しに大騒ぎでシトミ達のサービス精神には感心しました。

アイロッドの話(その2)

息子が父親の高級一眼レフを見て「父さん。こんな高性能機どうせ使えないだろう」と言ってソニーデジカメと交換させられました。

ー実際一眼レフと言う奴は図体が大きく重いしボタンが一杯あって操作を覚えれません。だいたい日本の精密製品は高価で装備過剰ですねえ。デジカメも高級化して丁度WiFiが装備され始めていました。実は中洲はかなりメカオンチでサッパリ転送の意味が分からずに弄りました。「えっ!スマホでカメラが遠隔操作できるんだ。これだっ!雪庇1号に取り付けよう」名前もBiRod (Birds eye Rod)として売り出すことに。

7~8メートル上空から写真を撮るとかなり驚きです。じゃあ誰よりも先に名作をモノにしようと青森の弘前城の桜を撮ることにしました。2014年の春です。老婆(ラオポー)に「どうだ。あの有名な弘前城の桜を観に連れて行ってやろう」と誘い出しました。

何しろ長大竿を支えての花見、いやでも観光客の目をひきます。小道具入れもあるしタブレットでの操作もあって慣れなきゃ独りじゃ無理です。

我ながら惚れ惚れの傑作写真が沢山撮れました。三脚が付いてますので少し離れてスマホを見ながら自然な人物像を撮るのにも便利です。もちろん傑作は人が上空を見上げて口を開けている写真ですね。この弘前行でアイロッドの市場を確信しました。

東京駅でラオポーと別れます。一緒は面倒だし支店に用事もあるのでね。ところが別れ際「ありがとう。桜見に連れて行ってくれて」と小遣いをそれも10万円もくれましてね。完全にこちらの魂胆が見透かされておりました。

誰か銅像を見上げておりますね。

お陰でBiRodは年間2000本ほど売れてジンユイさんの友達の工場は喜んでいます。残念ながら雪庇1号は合計500本ほどで売れなくなってしまいました。だけど別れたあの佐々山親父の発明力は評価しなければなりません。

世の中自分の手が届かない所に誰しも不便を覚えます。脚立も危ない。水の中なら殆どお手上げ。僅かの物好きが物干し竿にカメラやハサミを括り付けて頑張りました。そこで「軽くて便利な長い道具を作れば!」これが発想ですね。「そうだ釣竿がある」これが着想。あの小娘の親爺は立派です。ここまで来たのですから。これからが構想企画設計製造そして新たな市場開発となるのですが。少なくともクランプを取り付けた継竿まで進んでいれば発明者としてBiRodもこの親爺にプレゼントしたのですけど。雪庇1号の事業化にも執拗さが不可欠だと思います。何より目標を共有する仲間が大切ですね。

50年前の開発案件

満を持してBi見逃サーズの発表。場所は東京ビッグサイトで開催のメンテナンス展です。

BiRodはよく売れていますが専らプロ相手だから年間10億円の池ではなさそうです。一般消費者が欲しがる道具に仕上げれば数字はとんでもなく大きくなる筈です。

このBi見逃サーズをモノにする物語かそれとも全く当てが外れて悲嘆に暮れる話かを少ない読者と共有させていただきます。

どんなに優れた新製品でもヒットさせるにはそれなりの話題作りが不可欠でしょう。ある種の企みですね。これの方が開発よりも面白いかも知れません。結局石巻からは返信ないので大震災海底捜索行は止して上海ビリビリワールドに針路を変更しました。上海から戻って策を講じましょう。

見本市なら歩き回ってネタ探しが堪らなく面白いです。序でに今年入社の新人女性社員を連れて商品開発の特訓もやりました。

見本市ブースでの社員の応対でその会社の開発力の実態が分かること。ICレコーダーで録音して戻って情報を反すうする事。カタログが一番の教科書である事。女性もあらゆる分野の技術に明るくなる事。などなど年寄りの繰り言をどれ程理解してくれたでしょうか。

会場での沢山のネタ探しの中で涙が出るほど嬉しい情報がありました。橋梁の伸縮継手です。中洲は新卒で入社した小さな耐火物商社で運良く勝手に商品開発して起業させて貰いました。

その最初が橋梁の伸縮継手です。厚かましくも天下のBSに駆け込みタフジョイントと言うブランドで世に出しました。何のことはない。それは社外恩師であるアライ氏のラバトップジョイントをパクっての商品開発でした。そのアライ流起業術と稀有な営業力こそ中洲の生涯の虎の巻です。そのアライ氏今や80歳。会長職で当時3歳の息子が社長で会社TG道路は存続中との事でした。

それだけでは有りません。未だ伸縮継手の決定打が世に出ていないから誰も市場を制覇していないのです。更に3M社のブースを覗いたらそこに大秘密が寝ているのを発見しました。血が再び騒ぎ始めます。これって世界の橋梁の伸縮継手の革命となるに違いありません。

あの当時伸縮継手で青春を燃やしてからもう半世紀も経過してしまいました。

軌道修正です

ブログは矢張り難しいです。このところ筆が進みません。

「文は人なり」と言われる通り書いたものには筆者の人間そのものが現れてしまいまねす。気を緩めると筆者の思考回路の脆弱さや人間性までも露見します。

本来このブログは士郎の珍奇な発見と妄想を綴るものでそれ以外のテーマは中洲士郎の及ぶところでありません。ところがこのところつい調子に乗って主題を逸脱した文を書いて後悔しております。

さあ寄り道しないで「珍奇な発見と妄想の毎日」をブログに収めます。とにかく毎日皆さんと一緒に珍奇な新製品の開発あるのみです。

BiRod(Birds eye Rod)はスポーツカメラを竿の先端に取り付けて高所、水中を撮影する道具です。久々のヒットで中洲気を良くしとります。今度は珍奇なカメラを組み上げて特殊ケーブルでモニターに繋いでどんな場所でも探し物を見逃さない探索機「Biレスキュー」を世に出そうというわけです。

今日はそのBiレスキューの最終仕様を決める為に製品を手にして木の茂みや小屋の屋根の空中探索、床下や草むらの地上探索それに水中探索を同じ機材で行いました。これがスムーズにやれて映像の保存が出来ることがレスキューには不可欠な機能です。

イシバシ君指摘の通りVRゴーグルでの探索は現行品では無理がある。だから標準セットではタブレットにすること。問題は360°LED防水カメラです。草むらや軒下を擦ったら直ぐに防水ケースに傷や汚れが付きます。それにケースを通しての映像は随所に映像欠陥が表れます。だから取り外しや交換が不可欠です。そんなこんなでどうにか製品仕様が決まりました。

余計なことをブログに書いて憂鬱になったのが、開発作業専念で少し気が軽くなった午後のひと時でした。

上から珍奇な360°LED防水カメラUSBケーブル付き。20000円

HUAWEI高級7インチタブレットセット25000円

VRゴーグル充電池セット25000円(オプション)

真っ白のキャンバス

中国漫遊7日目。深圳業務最終日。明日には東京へ帰る。

今日は先ず例の藤岡氏にお会いした報告を。
超ご多忙の中、藤岡ファンの来社ということで
時間を割いてくれたようです。

第一印象は中洲とは段違いの強いオーラでした。
何の迷いもない強い意志を発散しています。
若いもんは自信があっていいなあ。
きっと深圳の若手成功者に名を連ね
ベンツじゃなくテスラで街を疾走しそうです。

中洲手短にBiRodから水族館等への開発のくだりを
3年間の深圳の経験を交えて話しました。
彼の明快な回答は
「尖ったコンセプトの水族館」には興味があり
商品化には大いに協力する。
例の今井先生との口腔検査キット等、
口やお尻に挿入するものは
「危ないからやらない」でした。

印象に残る話では
今やフアウェイなどの気鋭の会社は
中国を捨ててアフリカに向かっている。
「アフリカという真っ白のキャンバスに
通信基地を建てて13億の民衆にスマホを持たせ
お金と物資を流通させる事業に熱中している」と。

昼ご飯は本命のケーブルメーカーに入る前に
58%ディスカウントの謳い文句に引っ張られて
湖南料理屋に入りました。
規約の4人で5皿は流石にキツかったけど
味は素晴らしかった。

写真は春雨とエビの炒めだが火加減が実にいい。
これから湖南料理は狙い目ですね。

そのケーブルメーカーとは十分納得しあえて協議を終えました。
ロサンゼルスをスキップして深圳に飛んだのは
キット神様のご加護だったようです。