アイパオの話(その40)

この歳になっても受験に失敗したり卒業できなかったり失業中の夢を見ます。そして目が覚めて何時も夢でよかった・・・と。昨夜は夢かそれとも現(うつつ)か、床の中で少し面白い新しい仕事を見つけました。

それは「自然農法養鶏」です。

自然農法とは愛媛の福岡正信という篤農家が苦心の末に編み出した農法で「不耕起・不除草・無施肥・無農薬」ながら凄い収穫をあげるという怠け者の夢の農業です。本にも書いてましたが日本の因襲社会は他所と違うことやると即村八分に遭う世界なので開発に大変苦労されました。都会ではあの中村修二さんも同様に泣かされました。そんな環境でも大仕事するんですね。日本人ほど面白いユニークな人間を輩出する国は世界に無いんじゃありませんか。皆さま是非ネットで福岡正信を検索して下さい。日本人であることに何かこう、胸がキューっと嬉しくなります。

自然農法には沢山の「ど素人のインテリもどき」が飛びつくようですが大抵失敗します。中洲士郎も由布院塚原の草原に鍬を入れた時にこれにハマりましたが矢張り失敗で断念しました。実は自然農法は物凄く難しい農法なのです。

昨夜の事です。「待てよ、インテリもどきでも自然農法が成功する方法はないか?」

福岡正信は無施肥と言っても鶏糞だけは推奨しとります。それでアイパオ鶏舎一棟に60羽の鶏飼って一反の休耕田で自然農法を始め荒地の半分づつ交代で鶏を放し飼いしたらどうだろうと考えました。

皆さん一緒に机上プランから実践してみませんか?中洲士郎の失敗は何時も準備不足、作戦不在、日本軍のような運任せに起因しました。だから「失業した時」「何か再挑戦したくなった時」のために前もって机上プランをやって独立カードに記録しようという算段です。その一つ「自然農法養鶏」もカードに残しておきましょう。

先ず農地の取得は都会人の他所者には容易じゃありません。しかしアスキーのように土地に根を張れば「うちの田畑買わんか」の話が沢山舞い込みます。

お米作っても精々手取りは一反(300坪)10万円。1町歩耕して年収100万円。おまけに制約あって誰にでもは土地は売れません。農業仲間取引ですから売価は反当り20万から30万円です。貸しても年1万円位。一般農家は本当に気の毒です。しかしこの経済凍結状態は野心的な農家や都会の若者にとって起業するにはチャンスです。

だが何をどうやるかです。

米作りみたいな重労働は嫌、農薬まみれで虫もカエルも死滅させる農業は許せん。米なら外米買って食べればいい。もっと面白い自然に優しい仕事がしたい。福岡正信の自然農法なら失敗しても素晴らしい自然が蘇る。成功するビジネスモデルができれば都会から若者が農村に押し寄せる。

アスキーに調べてもらうと由布院塚原では今一反25万円4反買えば100万円、5反買えば農民になれる。出来れば5年以上農薬に侵されていない休耕地がいいでしょう。一反の真ん中にアイパオを立てて畑を半分に区切りイノシシが入らんようにしっかり柵をこさえます。

福岡正信の教え通り野菜の種を粘土でくるんだ団子を草むらに投げ入れます。生育を見ながら両方扉のアイパオから鶏を放して野菜や草や元気な虫たちを食べさせます。時にはパン屑や配合飼料も少しだけ食べさせましょう。池もあるといいですね。虫やカエルや小魚の楽園です。

アスキーの実績では鶏一羽当たり年間200個の卵を産みますので一反で12000個4反では48000個、完全地卵ですから今は一個30円ですが20円で売るとして96万円の収入。野菜も出来ますからコメ作の3倍位の反当り収穫ですね。

贅沢は言わん事です。パワハラ上司の会社で苦労するより年収100万円で農業始めたらどうだろう。椎茸も作ってイノシシと鹿の肉を分けて貰って自然農園で来園者にBBQでも食べさせたら年収300万円も可能じゃないか。

嗚呼、中洲士郎も又浪人したくなりました。会社辞めて来年から由布農園で起業しようかな。牛小屋に代わって立派な住居も建つことだし。

由布農園の草むらです

アイパオの話(その39)

久し振りに魚植共生アイパオのその後について報告させて頂きます。可愛い魚たちに今日、大事件が発生したのです。

その前に我らの日常を紹介しておきましょう。開発小屋は10年ほど前、ルミカ創業仲間のドガワさんが戻って来たので中洲が発案しました。まあ年寄りの隠居小屋でも作ってやろうと大工を雇い仲間内でこさえたシロモノです。

居心地がいいので現在定住者5名にアドレスフリーで3名ほど出入りします。

何処の家庭でも平穏な生活に変調きたすのが犬や猫のペットのチン入でしょう。ルミカ開発館でも途中2匹の野良猫、ミカンとスズも同居しました。現在は35匹のサクラマスが新しいチン入者です。

今年2月のフィッシングショー大阪でアイパオの魚植共生館を世界で初めて公開しました。そこで「お魚が居なければね~」と元気なアッコが富山から持ち込んだのがサクラマスの稚魚2000匹。殺生も出来ず大阪から福岡まで必死に搬送しそれから始まった苦難の日々。何しろ魚たちは日に日に大きくなるので連日問題が起こります。日に3度の餌やりは勿論、先ず水温13℃キープ。おびただしい魚の糞尿除去、それに酸素注入です。ある時は酸欠で小魚達が一斉に口を四角にして顔を水面に出して悲しく喘ぎ、見る間に水中に沈んで魚ならず虫の息です。

どだい数が多すぎました。いろんな事件があってその都度ナカムラさんがネットで学習して対応。只今35匹の大きなサクラマスが震災救援用ジャグジーで泳いでおります。連中も早熟で、恋の追っかけっこばかりして僅か半年で産卵開始です。水は何度も精液で白く濁りそんな時は餌に見向きもしません。

その開発小屋の定住者の役割ですが。

毎朝のお魚の健康管理はアルバイトのナカムラさんの仕事。水温は14℃以下でチラーや温調管理はデンキ屋ドガワさん。水中とインターネット映像管理はヒメノさん。それに何でも加工屋のイワモトさんは専らアイパオ開発一途。自称発明屋の中洲士郎加えて都合5名。共通項はヒメノさん以外皆んな定年をとっくに過ぎていることです。

さてその事件の真相ですが、今日は怠けて少し遅めに倉庫に入ったナカムラさんが本当に目を丸くして「水槽の水が無くなって魚たちがアップアップやってる」と叫んで小屋に駆け込んできたのです。

真っ暗の倉庫一面が水浸しで装置は全部止まっております。「ああ遂にお終いか!」調べると水中ポンプのホースが中洲手製のろ過装置からジャグジーの外に飛び出しています。しかも水を10cm程残したところでタコ足配線がショートしてポンプ類が停止していたのです。奇跡的に残った僅かの水で魚達が息絶え絶えでした。

ドガワさんと中洲は懸命に乏しい水の中の魚に酸素吸入。他の3人はナカムラさんが遊びに行って 見つけた薬王寺温泉の裏手の清流まで300L水タンク2つ持って水汲みに出かけました。

1匹の死亡もなく無事に19℃の温泉で魚たちが泳ぎ始めたのは午後12時も過ぎておりました。

「こんなことって会社の仕事と関係有るんでしょうかねえ。真っ当な仕事して時給少し上げて貰えれば晩酌の発泡酒が本物のビールになるんですけどねえ」とナカムラ。「独り身をいいことにフィリッピンバーで散財しなきゃいいんだ」「バーじゃない安いパブだ」などと狭い水槽で騒動の魚たち同様に開発小屋でも久しぶりの賑わいでした。

確かに2000匹から減ったと言っても過密飼育の35匹のサクラマスです。動物虐待のそしりを受ける前に駐車場のアイパオ共生館を急いで復旧させて例の保育園の可愛い園児達をびっくりさせねば。「おーいイワモトさん頼むよう」です。

次回大きなサクラマスがアイパオドーナツ水槽で猛烈に回遊する姿をヒメノさん担当のBi見逃サーズでご覧に入れましょう。

Bi見逃サーズで撮影のこの魚、産卵に入りました。

星野焼源太窯(その4)

小学生時代、人生で最良の日々を共に過ごした仲間が又1人この世を去りました。

その仲間たちとは中学を出ると各々別の道を歩みますが社会に出て再会があってお互いの人生が糸を紡ぐ。その交友は何時もケレン味のない昔の小学生同士で別れる時は唯相手の元気を祈りあいます。

昨日永眠した財津君もその1人。福岡市赤坂門に友人と2人でテーラーを開いたので何時も彼にスーツを頼むようになりました。その店を閉じて一人で営業するようになってからは年に二度決まってルミカに来てくれました。いつも生地見本から適当に生地を選んでの発注です。時折採寸して貰いますが何時も「士郎は寸法がちっとも変わらんねえ」でした。「お陰で10年前のも着ているよ」「仕立てで7万円じゃ長く着られたら商売にならんよ」「そうか、小学校中学校の同級生を回っているのか。そりゃ効率がいいな」「崔朝栄なんか30万円位のをポンとオーダーしてくれてたな。キップのいい奴だった」「中洲若子の話」でヤクザ相手の金貸し業で若死にした「我らの歪んだ英雄」崔君の話をしました。中洲と違って大層気前のいい男の姿が浮かんで参ります。崔君は小学校時代の仲間には命がけで愛情を注ぐ男でしたから財津君にも気を使ったのでしょう。

その財津君はと言えば小学校の時から目元涼やかで少し高倉健の雰囲気を持つ真面目な本当の男前でした。それが2年ほど前会社にやって来た時帽子を被っておりまして、それを取ると下はつるっ禿げ。

「何事か?」の問いに「前立腺癌を患った」とのこと。何十年も細身でスーツをシャキッと着こなしていたのが太って少し苦しそうです。「士郎も採血のみのPSA検査で前立腺は検査できるからやっとけよ」とアドバイスくれました。

右が財津君。小学5年の時、名島で貝掘り。母親若子の妹安江のうちにお邪魔しました。左が関岡君。彼を早く見舞わなきゃ。幼い時のアルバムをめくると改めて幼友達との日々が迫って来ます。

それに服の事は任せっきりだった友人が居なくなって人生が少し面倒になりそうです。それにしても一度くらい気前よく10万円位のスーツをオーダーしとくべきでした。

まあ中洲のスーツは全部財津君がこさえたからこれを大事に着ればこれからは他所で新調しなくていいだろうが。                合掌

会稽の恥(その1)

どの人もこの人も好きで堪らんルミカの皆様との68回目の全社朝礼、大連出張中につきご挨拶の代読をお願いします。

毎月指折り数えて今回は68回目の全社朝礼、これは68ヶ月前会社が危機に瀕した時、皆で「会稽の恥をそそぐ」故事に習い空腹に耐え仕事のやり方を変え新製品新事業を立ち上げて再興を誓って68ヶ月、即ち5年と8ヶ月経ったわけです。そして遂に皆様の頑張りのお陰で創業以来の収益を上げる中、私は社長業そっちのけで今日も新製品開発という一番面白い仕事に携わらせて貰っております。

このところ、その新製品新事業開発について

皆さんの期待が高まって来ました。その期待とは新製品でも実際に会社の売り上げと利益と社員分配を増やせるかもしれない。そして新製品でお客様をビックリさせようとの機運の盛り上がりに他なりません。

その新製品としては

化学反応ボール・メガホタル

二酸化塩素・クレリンボール

ケミホタルペイントと新型ベイト

二酸化塩素スプレー

バンちゃんクレリン

使い捨て発光シャンパンタワー

キャンパオとグランパオ

Bi見逃サーズ

更には旅順名産のチェリー加工品

(今日はその事業立ち上げの協議)

などが挙げられます。

特に化学反応ボールはボールの成型から全て自社生産で規模も年間数百万個から一千万個を見込み、従って売却予定だった大連第2工場が新ライン設置で急遽再整備に入ります。

これもラッキーなニュースです。休眠中で隣の自動車会社に捨て値での売却も覚悟していた連云港市の東海ルミカでしたが数日前に中国政府が再飛躍を期して連云港市を新設の海外自由貿易区に指定したのです。これも大きく動きそうです。

ルミカはどうやら追い風に乗ったようです。業務提携先のT薬品さんが念願の年商100億円を突破したとして話題ですがルミカも負けずに皆さんで来年は年商50億円突破を狙いませんか。

それでは皆さま呉々も健康に留意して私同様仕事を楽しんで下さい。

9月2日、大連より中洲士郎

大半の読者が社内とは言えブログに朝礼の挨拶文を載せるなど・・・「中洲士郎そろそろ焼きが回った」と察せられる御仁に、実はどうしてもお話しておかねばならないのがあの「会稽の恥」事件です。書こうか書くまいか?いや、書きたくてウズウズしていたのが今朝の明け方全社朝礼を書き送って決心したのです。会社を襲った世にもおかしなこの事件の顛末を書き始めようと。