人は皆夢を見ます。そして少しだけ動いてみます。しかし実現に向けて実行となると何がしかの常識が働いて無理を慎むものです。ところが会社のトップとなると幾多の失敗にも懲りず結局、何やかや理屈をつけて実行してしまいます。周りに溜息を残して。
そんな失敗ばかりの中洲士郎、止せばいいのに赤字続きで役員達に閉鎖を迫られた米国子会社を救済するとの名目で2023年の米国CES見本市出展をぶち上げたのが昨年夏。
そこらの見本市とは訳が違う世界最大のショーです。どうせ出展を断わられると思っていたらコロナ禍のせいか主催者からOKが出て泡を食いました。コロナワクチン接種を逃げていたので米国入国は無理で渡航を断念するしかない。だが責任は言い出しっぺの中洲にあるから矢張り行かなきゃ格好つかない。そこで無理して急速2回接種で接種証明が出たのが12月27日。馬鹿高い航空運賃で1月3日仲間達と離れて爺さんは孤独の旅に。いやあ酷かった。航空事情悪くラスベガス空港に到着したのは福岡出て50時間後でした。
手ぶらで帰ろうモノなら社内の侮蔑の眼差しの中、確実に欧米での企業活動はお終いになる。「どうせルミカは零細小企業、所詮世界を狙える会社なんかじゃないってことか」となる。
それにしても現地で見る日本企業の元気のなさ、それに対して韓国ビジネスマンの活発なこと。しかしTecWest会場で俯瞰するところ目新しいもの何もない。人目を引くのは精々韓国企業の刺青プリンター位。こんなモノに入場料400ドル払って誰が見に来るものかと悲観するが他の見本市との一番の違いは来場者の殆どがCEOだと言うことです。即ちその場で決断できる相手なのです。
我がブースではiPAOを2棟建てて最長11.5mのBiRodをそびえさせて人目を引いている。初日、来客少ないのでイシバシ君には、いい男が通りかかったらブースに引っ張り込め、俺が料理するからと伝えました。しかし彼女、斜め前のブースの若者が超イケメンで気になる様子。収穫少なかった初日の終礼、皆50ドルの昼飯の不味いサンドイッチに文句付ける。その中でルミカインドネシア社長の韓国人の姜さんだけ「3日目が勝負よ!」と1人気勢を上げる。それもその筈今日は韓国からは釜山市やウルサン市の市長等大物が続々ブースにやって来ました。矢張り韓国人同士だから諸々の悩みを共有できるのでしょう。
2日目少し大きな引き合いがアイパオとアイロッドに出ました。そして3日目奇跡が起こります。ミネソタからやって来たと言うアイスフィッシング場のオーナーが奇跡の震源です。ブースのアイパオと室内で放映中のオノデラ制作札幌茨戸川ワカサギ釣りのビデオを見て(驚愕してか)呆れて大笑い。先々続く数千棟のアイパオビジネスが舞い込んだのです。数十億円ですぞ。カナダや欧州でもアイスフィッシング関係者が同様にオッファーを出します。一様に「これぞイノベーション、氷の上で何十年も凍っていたがこんな発想は遂に浮かばなかった」と。
勿論本件受注のお陰で皆がいっぺんに疲れを吹き飛ばし意気揚々と会場を後にしました。だが帰途の中洲士郎またしても難儀に。韓国入国の電子査証と日本入国のPCR検査不備で数十時間の一人旅でした。
さあこれで米国ルミカ再建だ。何事もやってみるもんだねえ。
そんなビジネスも面白いが矢張り男女の切ない話の方が・・・。
4年ぶりに韓国に入って永宣さんと韓食を漁色(?)しました。韓国大邱の実家で在宅勤務中のルミカ東京支店のP嬢も久しぶりに外の仕事に参加です。CESで約束したソウルの衛星都市城南市の起業家李氏を訪ねる道すがらでした。P嬢、車窓を過ぎる景色を見つめながら呟きます。
「何て偶然、ここは昔彼の街です。何度か来ましたよ。彼とは大邱でお付き合いしてて彼の転勤で遠距離交際に。次第に疎遠になって別れました」「だったら一寸だけでも電話してみたら?」「フラれたの私。私にも少しはプライドあるから電話しない!」多分彼の方も彼女を想っているだろうに。時には彼女に「どうしてる?」位声をかけてくれればいいのにね。年寄りの要らんお節介の中永宣さん運転のKIAはP嬢の昔彼の街を通り過ぎて行きました。
今日も年寄りの長い独り言に付き合って頂いて有難うございました。