アイパオの話(その62)

ひ孫に自慢する新製品(その7)

魚植共生アイパオの話の続きです。

ひ孫の時代になったら「ひいじいちゃんの時代って自然界の魚をとって食べとったの?野蛮人やね」「野菜を畑で作っとったの?馬鹿らしい」って言われるかも。

前回では川に浮かべた箱舟で野菜を栽培するという欲張りの魚植共生でした。結局2匹の鯉のうちの1匹が水槽からのジャンプで絶命、片棒の鯉が悲嘆に暮れる中プールアイパオを解体して魚植共生は仕切り直しです。

先ずは新しい鯉の調達。昼休み。会社のそばの大根川での鯉釣りにオールドナカムラ先生を誘ったら結局遊び好きの他のゴクツブシ連中も一緒の川遊びとなりました。

ここはヤングナカムラ君、橋の上から模範演技です。餌は横のコンビニの食パン、鯉は歯がないので吸い込み仕掛け、パンで針を隠します。何しろ雨続きの8月で水も濁り流れもあるので釣り名人も10個の眼差しの中で緊張しました。中洲は川底を這わせながら時折り餌を浮き上がらせる名人芸を感心して見るだけ。白いパンがぼんやり姿を見せた瞬間それを目掛けて草むらから黒い塊が猛ダッシュ。何しろ魚はでっかくて餌をくわえて古賀の海に向かってまっしぐら。道糸直結だから糸は無事だが針が延びて魚はなんとか逃げ去りました。

結局小型の鯉、それでも50cm余りの頃合いの仲間2匹を釣り上げて回転水槽に放ちます。これを待ち構えていたように先住の雌の鯉が嬉しそうにじゃれつきます。どうもこの鯉はただの男好きだったようです。

この回転水槽の上に12艘の新型野菜舟をホースで繋ぎ底にお魚トンネル兼台座を置いて舟を固定しました。鯉の糞で濁った水を野菜舟にポンプアップして循環させております。

アイパオの中には2段水槽を置いて例のヒメノさんの甘いトマトを挿木してもう直ぐ豪華魚植共生館のオープンです。

ひ孫の時代になったらデパ地下で養殖のエビや魚と一緒に新鮮野菜が生きて売られているでしょう。今と違って少し野蛮な光景かも知れません。

写真をご覧ください。

3匹の鯉が泳ぐドーナツ型水槽と固定した12個の水耕野菜箱です
野菜箱を支える台座に隠れたつもりの鯉くん

アイパオの話(その55)

久しぶりのブログ更新です。飲食や旅行業界同様コロナ禍でエンタメ市場も干し上がり会社の業績に赤信号が点滅するこの頃です。ここは何としても中洲の面子にかけて新製品をヒットさせなきゃ・・と。

それで都合よく来客も会議も少ない1週間のうち6日間は開発室、残る1日は由布農園での農作業、と新入社員のような規則正しい日々の一年半です。だが・・・一向に新製品がヒットしない。腕が鈍ったのか、元々開発の腕が無いのか?と自問しながら終いには「しゃ〜ない会社潰れても命を取られるわけじゃなし」と、開き直ることに。

それでもコロナの奴に一年半も縛りつけられると世界が違ったものに映って参ります。 「すべては子供たちの安全で楽しい明日のために」というスローガンが新人のオカモト君から生まれその蔓が伸びて「中洲の商品開発は時期尚早で現代人の目には止まらんから死後の楽しみよ。」とは中洲甚句。すると何となくですが打撃不振でも愉快になっております。

まあ期待の新製品が大ヒットしてればこんなキザな物言いしないんですが。

これから数回はそれら売れない新製品開発の近況報告です。それとひ孫の時代になってヒットしたら「これはお前のひい爺ちゃんの発明だぞ」と自慢できるようにこの中洲ブログに開発の顛末を残します。

さてそのひ孫に自慢する新製品

(その1 )野菜船

唱歌に出船があります。いい歌ですね。こちらは野菜船。気楽な農業です。ここは木が生い茂り畠も作れない海や川や池の辺り。そこの住人が細いロープを手繰り寄せるとたわわの「野菜の木」が小箱に生い茂っております。トマトやナスやレタスや南瓜それに可憐な花まで。みなもを渡る風と水温は野菜の生育に最適。野菜船を観察するとプラ段の蓋の発泡スチロール板から堅牢な野菜の幹、傍に見えるのはソーラーエアポンプと液肥注入チューブ、所有者の名札と細いロープだけ。液肥は子供が生ゴミや糞尿を発酵させて抽出した透明のアミノ酸です。隣の箱は魚の生けすでその排泄物が野菜船に循環するように子供が造作中です。この野菜船一艘は精々500円。

由布農園で週末農作業すると少し馬鹿馬鹿しくなります。散水もすき込む堆肥もその90%は地下に染み込んだり雨に流されてしまいます。だから丹精込めた今年の「島らっきょう」も足長美人に育ちません。じゃあそれらが無駄にならんように工夫したらいい。畑耕すのも難儀なことよ。そこで思いついたのが野菜船でした。

オールドナカムラが仕事サボって近くの川で釣ってきた2匹の大鯉が楽しく泳ぐ古賀の会社の駐車場のグランパオのプール。そこに間借りしている野菜船の写真をご覧ください。

会社の可愛い娘たちの名前を船名に掲げてますが彼らが世話にやって来る気配はありません。

ついでにヒメノさんが真面目に栽培している水耕栽培トマトのグランパオご覧ください。野菜船より1ヶ月先輩ですが見事な生育振りです。この次近くの保育園の園児たちが汽車ポッポロープに繋がって前の道を通ったらトマト狩りさせましょう。

次回は中洲流水耕栽培の話です。

アイパオの話(その39)

久し振りに魚植共生アイパオのその後について報告させて頂きます。可愛い魚たちに今日、大事件が発生したのです。

その前に我らの日常を紹介しておきましょう。開発小屋は10年ほど前、ルミカ創業仲間のドガワさんが戻って来たので中洲が発案しました。まあ年寄りの隠居小屋でも作ってやろうと大工を雇い仲間内でこさえたシロモノです。

居心地がいいので現在定住者5名にアドレスフリーで3名ほど出入りします。

何処の家庭でも平穏な生活に変調きたすのが犬や猫のペットのチン入でしょう。ルミカ開発館でも途中2匹の野良猫、ミカンとスズも同居しました。現在は35匹のサクラマスが新しいチン入者です。

今年2月のフィッシングショー大阪でアイパオの魚植共生館を世界で初めて公開しました。そこで「お魚が居なければね~」と元気なアッコが富山から持ち込んだのがサクラマスの稚魚2000匹。殺生も出来ず大阪から福岡まで必死に搬送しそれから始まった苦難の日々。何しろ魚たちは日に日に大きくなるので連日問題が起こります。日に3度の餌やりは勿論、先ず水温13℃キープ。おびただしい魚の糞尿除去、それに酸素注入です。ある時は酸欠で小魚達が一斉に口を四角にして顔を水面に出して悲しく喘ぎ、見る間に水中に沈んで魚ならず虫の息です。

どだい数が多すぎました。いろんな事件があってその都度ナカムラさんがネットで学習して対応。只今35匹の大きなサクラマスが震災救援用ジャグジーで泳いでおります。連中も早熟で、恋の追っかけっこばかりして僅か半年で産卵開始です。水は何度も精液で白く濁りそんな時は餌に見向きもしません。

その開発小屋の定住者の役割ですが。

毎朝のお魚の健康管理はアルバイトのナカムラさんの仕事。水温は14℃以下でチラーや温調管理はデンキ屋ドガワさん。水中とインターネット映像管理はヒメノさん。それに何でも加工屋のイワモトさんは専らアイパオ開発一途。自称発明屋の中洲士郎加えて都合5名。共通項はヒメノさん以外皆んな定年をとっくに過ぎていることです。

さてその事件の真相ですが、今日は怠けて少し遅めに倉庫に入ったナカムラさんが本当に目を丸くして「水槽の水が無くなって魚たちがアップアップやってる」と叫んで小屋に駆け込んできたのです。

真っ暗の倉庫一面が水浸しで装置は全部止まっております。「ああ遂にお終いか!」調べると水中ポンプのホースが中洲手製のろ過装置からジャグジーの外に飛び出しています。しかも水を10cm程残したところでタコ足配線がショートしてポンプ類が停止していたのです。奇跡的に残った僅かの水で魚達が息絶え絶えでした。

ドガワさんと中洲は懸命に乏しい水の中の魚に酸素吸入。他の3人はナカムラさんが遊びに行って 見つけた薬王寺温泉の裏手の清流まで300L水タンク2つ持って水汲みに出かけました。

1匹の死亡もなく無事に19℃の温泉で魚たちが泳ぎ始めたのは午後12時も過ぎておりました。

「こんなことって会社の仕事と関係有るんでしょうかねえ。真っ当な仕事して時給少し上げて貰えれば晩酌の発泡酒が本物のビールになるんですけどねえ」とナカムラ。「独り身をいいことにフィリッピンバーで散財しなきゃいいんだ」「バーじゃない安いパブだ」などと狭い水槽で騒動の魚たち同様に開発小屋でも久しぶりの賑わいでした。

確かに2000匹から減ったと言っても過密飼育の35匹のサクラマスです。動物虐待のそしりを受ける前に駐車場のアイパオ共生館を急いで復旧させて例の保育園の可愛い園児達をびっくりさせねば。「おーいイワモトさん頼むよう」です。

次回大きなサクラマスがアイパオドーナツ水槽で猛烈に回遊する姿をヒメノさん担当のBi見逃サーズでご覧に入れましょう。

Bi見逃サーズで撮影のこの魚、産卵に入りました。

由布農園だより(その30)

先週は大連でしたので2週間ぶりの由布農園です。

由布農園も汗ばむ暑さでアスキーの鶏達はルミカ農園のあちこちにで土を被って体を冷やしております。田んぼには 水が張られて田植えがそして合鴨の雛達が出陣間際でした。

収穫の本命は島ラッキョウ(由布院エシャレットに改名)、これにニイザワさんの玉ねぎと中洲パオで育った貧相なジャム用イチゴでした。魚植共生でサクラマス達の水温を13℃に抑える為にカルキの無い氷を確保しなきゃ。それで愛車で200Lの井戸水運搬も本日のTODOにリストアップされておりました。

来客がありましてね。退出されてから日暮れまで時間との勝負。農家ってのはその日その日の予定があって毎日時間との闘いなんです。

2002年4月に10数本で始まった島ラッキョウ事件が遂に感動のうちに最終章です。ニイザワさんもアスキーも中洲の島らっきょうに感嘆絶賛でした。本当に凄い。親元の沖縄伊江島産を超えてしまったのですよ。

原種をネットから拝借。もっと脚長の美人ラッキョウにするのが15年間の夢でした。

全部型が揃って、しかもずっと脚が長い。葉っぱの太さ勢いが他所と比べ物にならん。今年も頂いたお歳暮のお返しで老婆(ラオポ)にうるさくせかされて必死の皮むきでした。31日には東京支店でのBBQ大会に招待されているので大量に持ち込みましょう。

アスキーんちのポリスブラウン「愛ちゃん」まで試食に来ています。

根が深く強く張ってます。今年の畝は3回足で土を上げました。土が良いですね。秘訣はLMC34菌と鶏舎を掃除して失敬した良質の鶏糞のすき込みでしょうか。

本当に悠長な中洲別荘の建築現場。昨日から組立が始まりました。これから毎日姿が現れます。乞うご期待。

アイパオの話(その30)

2000匹のサクラマス稚魚たちの近況を報告します。2月4日オーノとイワモトの徹夜の搬送で大阪から福岡に運ばれ息絶え絶えだった稚魚たちの今では元気な群泳の様子をご覧願います。

我等開発館にたむろする高齢者チームにNさんという動作が鈍い仲間がいます。大体、職人仲間内では差別されたりイジメに会うタイプですな。ところが手先は鈍いが頭脳はシャープでありとあらゆる技術情報や世間のニュースに詳しい。

最近とみに認知症を自覚させられる中洲にとってNさんの滑らかな舌の滑りが羨ましい。そして何でも解説するのが大好きときている。それもあまりデタラメでもない。

「中っさん。そんな餌のやり方じゃダメですよ。こうやって少しずつ彼らの食い気を誘って餌が底に沈まないようにしなきゃ。メジナの撒き餌と同じよ」「じゃあ餌やりはオマエの仕事だ」それで休みの日以外はNさんが担当する事に。

次に「魚たちの水槽を周遊するスピード見たらお腹の太り具合が分かる」確かに朝一番と午後4時、Nが姿を出すと魚たち狂ったようにマッハ速で泳ぎ始める。200g程の餌が終わる頃には幸せそうにゆっくり泳ぐ。「そこでお終いにする」と。「なるほどなあ。養殖マグロの自動生体管理に使える」

中洲は考える。じゃあ餌の研究始めんといかん。「近くの吉田釣具とイオンに行って片っ端から撒き餌や食材買って来てよ。そしてアンタの魚たちに何が美味いか聞き出してよ。そしたら釣り餌のマルキューの会長に開発製造頼むから」という事でNさんは共生魚の飼育と餌開発担当部長に任命されました。

ところで稚魚たちは既に4倍くらいに成長しています。このままでは直に超過密で泳げなくなる。綺麗なセグチ女史「もう少し大きくなったら間引いて食べましょう」と。滅相も無い、可愛い魚たちを食べるなんて。先ずは共生館第2号を作ってそれから考えることにします。

アイパオの話(その28)

昨日から大連にやって来ております。何度か皆様にご紹介しております旅順の哲人張さんにアイパオの近況を伝えるためです。フィッシングショー2019大阪フィーバーの様子やヒメノさんがセッティングしているサクラマス達のライブ映像をお見せしました。張さんと社員全員本当に我が事の様に喜んでくれます。張さんは自分が命名した魚菜共生を魚植共生に改名して一緒に事業をやろうと大乗り気です。中洲士郎遂に念願の張さんの弟子にしてもらえたようです。

張さんの展示場ではナスが木となって実を付け新たに四川省からやって来た3匹の山椒魚が水槽に佇んでおりました。

哲人張さんとその仲間。後方の魚植共生水槽は本当に水が澄んでます。これから一緒にアイパオ共生館に取り組むことになりました。

この歳になってつくづく思うのは、新しいこと始めるにはいい仲間が不可欠だってことです。世の成功したベンチャー達がそうであるように結局成功のご褒美は大抵着手者1人が持って行ってしまいます。だけどその成功には沢山の熱心な協力者と何より時の運があるわけです。1年前倒しで昨年11月に始まったアイパオプロジェクトでは東京の元気娘のアッコと老兵オーノとイワモトそれに大連の切れ者キンギョとウー無くして1月末完成はあり得ませんでした。そして今度は旅順の大先生、哲人張さんチームの参入です。中洲はただのイカサマ言い出しっぺですが・・・。これから事態はどう動くのでしょう。アイパオで世の貧困対策が始動するのでしょうか。どうぞ皆様も使者サクラマス達にエール送って下さい。

アイパオの話(その26)

見本市撤収は大変でした。何しろ2000匹のヤマメの稚魚です。3日間子供達相手に大活躍の魚たちは疲れ果てた上に水がすっかり濁ってしまって呼吸困難になっていました。酸素注入でも福岡まで生きて行ける可能性は殆どありません。本当に魚さん共々弱りましたが最後はオーノとイワモトの高速運転の腕だけが頼りです。

皆んなを魅了したアイパオ3棟、今回は全てボルトじゃなくリベット止めでしたので激しい解体が仲間たちの手で5時に始まり8時に終わってトラックは慌ただしく出発したのです。

そして今日2月4日の朝早く誰も出社していない本社のアイパオ作業場を開けました。静かです。薄暗がりに3棟のアイパオの解体された部材が綺麗に整理されています。その奥に黄色い200Lタンク2個が横たわり酸素が注入されていました。恐る恐る蓋を開けると「オー!」魚たち全員元気に泳いでいます。

鉄人イワモトがやって来ました。聞けば朝4時に本社に帰還。魚の無事を確認してオーノと2人で荷降ろしと資材の整理をして帰宅。仮眠も取らず直ぐに出社したらしい。イワモトの労をねぎらう間もありません。稚魚たちをどうするかです。選択肢はただ一つ、本社駐車場に魚植共生館をこさえて一時間でも早く魚たちを収容するのです。水槽だけでも完成しなきゃいけません。頑張って頑張ってリベットで壊れたPVCパイプを修復して日が暮れかける頃です共生館の水槽が完成したのは。木炭や断熱レンガのニワカ造りの濾過器を通した水道水を注入してアップアップと息絶え絶えの稚魚たちを移しました。ところが水槽から水がドンドン流れ出ます。調べるとPCパネル水槽内のビニールバスが破れています。ここはヒメノさんが手際よく応急処置して何とか危機を脱しました。おまけにヒメノさんは機転を利かせてBi見逃サーズを設置してくれたので家に帰って魚たちを監視することが出来ました。

 

皆様もスマホで魚たちの元気な姿をライブで観察できます。画面をスクロールしてカメラを動かせて下さい。

手順

①APPをAPP StoreなどでアプリのMIPCをダウンロードして下さい。

③IDはlumicahonsha

PWはlumicahonsha01です。

アイパオの話(その22)

異形PVCのサンプルが大連金州で仕上がって約50日。1月29日大阪に向かうトラック積み込みまで5日を残して「革新アイパオ」3棟が姿を現わしたのです。

盟友オーノ、ヒメノ、イワモトは正月返上、遠賀工場の若手数名も土日を割いて応援。中洲は他の全ての開発案件を投げうって朝から晩までアイパオ漬けの毎日でした。この間、資材調達と加工に4回大連に飛び遅れの出た船便を飛行機便に変えて今日水槽と屋根のPC(ポリカーボ)板が到着。遂に3棟のアイパオが形を見せました。

フィッシングショー大阪2019の出展責任者で東京支店のアキコ(安藤サクラそっくりさん)に電話。「間に合ったよ」に電話の向こうで歓声が上がります。

由布院で調達した「魚植共生」の野菜と花

サクラマス稚魚2000匹の回遊水槽。果たして水は漏らないか。

11件の新製品新事業展示の開発館

アイパオラーメン館。イケアに買い出しに行ったが按配良くありません。

中洲の夜毎のいい加減な着想に翌朝耳を傾け一心に着想(妄想)を形に変えてくれる奴。それがオーノでした。(思えばヒメノ氏もドガワ氏もヒラタもイノウエも仲間たち皆んなそうでした)

この20年間遠賀工場の生産現場から週末になるといつも会社不良資産の由布院塚原の荒地に引っ張り出しての開拓作業。どんな馬鹿げた着想にも絶対に異をとなえずに作業に従事。日毎の罵倒に耐えきれず姿をくらませて6年。舞い戻ってからも罵倒の日々。満身創痍で医者通いの定年過ぎて再雇用の嘱託老兵。ニッサンの超馬力の車で野山を疾駆させてラリーで名を馳せた男も金と体力それにカミさんにも見放されうらびれて。それでも時折軽四輪でレースに出て夢を追う典型的な末路人生。そして中洲親分の無茶に正気失せた顔で一応従うしか術がない男。その男オーノに。

「オーノお前しかいない。中洲最後の頼みを聞いてくれ」そしてオーノの分身の奇怪な男イワモトと3人で過ごし通したこの50日間でした。ごめんなさい皆様。時間に追われ必死の手作業の2人の動きを追っては資材の調達に走り回ったので長らくブログをサボっておりました。

驚きは2人の日増しに軽やかになる動きと血色を取り戻した顔。問題が解けた時の笑顔。濡れ落ち葉同然だったオーノが青春を取り戻しております。そのオーノ、若い頃から一番好きな仕事は人が喜ぶ住まい造りと名人芸のユンボ作業。彼を観ていると人間ってのは好きな仕事を死ぬまで続けたい生き物のようだ。そして一升飯飯喰らいの超老イワモト。アルバイトながら今にも潰れそうなオーノを律儀に支える男。生き返ったオーノと一刻者(イッコモン)イワモト有っての「革新アイパオ」誕生でした。

この間中洲は2人に吠え続けました。

「世の不正と堕落を正すべく立ち上がらねばならない」「親分。例えば何に対して立ち上がるのよ?」「例えばトランプだ。食と職を求める難民に手を差し出すのが金持ちの義務なのに。それも貧しいメキシコの負担で国境に壁を築かせるなんぞとんでもない罰当たり野郎だ。鉄槌を食らわせにゃ」「核のボタンを握った男にどうやって?」「メキシコに地上の楽園を作るのよ。そしたらトランプの壁をよじ登るのは米国人となり選挙民に見放されるワケだ」「どうやって極貧の民に楽園が訪れるのだ。オヤジみたいな素寒貧が巨億の寄付でもするのか?」「ホームレスに家と仕事をリースするのよ。それがアイパオだ。その崇高なアイパオをお前たちが世に出すのだ」「ヤレヤレ」少しばかり気印気味の親方に正直ゲンナリ顔の2人でした。それが自分たちの手で日毎にアイパオの清楚な姿が浮かび上がって来ると2人の顔つきまで威に満ち色気まで湛え出したのです。いやあ本当にホント。それは楽しい50日間でして中洲シミジミと幸せを噛み締めております。

旅順の哲人

大連出張納めです。こんな嬉しいことがありました。

生きていると何度か初対面で心酔する出会いがあります。10年ほど前この旅順203高地近くの農園で、面白い事ばかりやっている張という翁と懇意になりました。ところが6年前に金根河と別れて行く道が分からず会いに行けなかったのです。

それで今日はチンユイ総経理に頼んで僅かの記憶を頼りに探すことにしました。そして探し当てたのです。来たる6月23日ルミカ発見と創造展大連2018で訪問希望者を募ります。

中国に来て25年になりますが一番心に残る男がこの人、張元昱翁です。物静かで威張らず権力にオモねず金儲けが念頭になく、毎日毎日気が付いた面白いモノ作って暮らしている発明家農夫です。そして由布農園中洲士郎の師匠です。追ってこの人の詳細を記しましょう。

今日は少しだけスナップ写真で紹介します。張翁の人と成りを想像して下さい。


農夫姿の張さん。


最近の研究は「魚植共生」。
水槽の魚の糞が野菜を育てます。


巨大な野菜や果物に永遠の命を与えています。


珍しい兎。動物の糞尿からメタンガスを採って園内の燃料に。広大なチェリー畑の苗木は全て独自のクローン栽培技術で育成。


園内至る所に奇怪なオブジェが。


張さんのアイパオ。滋養の凄い卵を産む鶏。後方は広大なチェリー畑。6/23にはチェリーを好きなだけ食べさせてくれます。