アイパオの話(46)と裸のウイルス(その4)

 

今日は二酸化塩素拡散テストの話です。ちっとも面白くない話で済みません。アイパオの献身的な姿だけでも見て褒めてやって下さい。

こんな実験に皆んなが稼いだ貴重なお金無駄にできませんのでアイパオに登場願いました。どこの会社も「研究です」と言えばお人好しだけが取り柄の経営者が鷹揚なふりして許可出すようです。100万円なんて使うの簡単ですが儲けるとなるとゾッとします。ルミカでは凡そ研究費が出ないので大抵身の回りのモノで代用です。

この前受注ゼロで惨敗のザ・スモーカーが今回申し訳ない顔で出演しております。クリーンルームなどと言えばすぐに数百万円数千万円の世界です。会話は「予算は?」「限りなくゼロだ!」失敗してもいいようにお金は使わないに限ります。どうせ大抵の開発は成功する見込みないのですから。

どうにか「二酸化塩素拡散実験ドーム」が仕上がりましたので今日はその実験です。密閉された空間での二酸化塩素ガスの拡散の状態を確認する事にしました。

ドームの仕様をご説明します。構造はアイパオの中のキャンパオ2型で半径1.2mの半球に2段のスカートが付いています。2畳の床面積に7.5m3の容積の部屋です。壁面は全てポリカーボの二重窓で中空のPVC床板とは密着しており外気とは遮断されております。

この部屋に「二酸化塩素香スプレー」で1秒間ミストを噴射すれば即座に部屋は0.03~0.06ppmの二酸化塩素で充満される筈です。因みに6畳の部屋なら25m3として3秒間の噴射を要するでしょう。

それでは実際に二酸化塩素の測定です。

下の写真はハネウエル社の二酸化塩素専用測定器。研究室の若手化学屋が勝手に購入して得々していたのを借り受けたものです。7万円もして高濃度の二酸化塩素に触れるとセンサーが直ぐに壊れてしまう代物(既に3台目)。

中洲としては些か気に入らないので例によって老友ドガワ氏に開発を要請。彼はガスクロと液クロなら日本でもピカイチのエンジニアだったけど大手の学歴偏重会社で冷や飯食わされました。二酸化塩素濃度を測るだけじゃなく密閉空間の濃度を一定にするシステムを開発しなきゃと彼にリベンジを持ちかけてドガワ式センサーとの性能比較も行うことに。

ここは老技術者の面目ほどこしたかったのですが・・・。酸化還元電位差測定方式とその小型化には課題多く完成には暫く時間がかかりそうです。

その様子はコムロ編集の動画にシトミの色っぽいナレーションが入ってYouTubeで流れます。アップしたら今日のブログに貼り付けますね。

さてその測定結果です。二酸化塩素濃度の経時変化です。

先ず大型扇風機で風を通して部屋を換気します。ゲージのゼロppmを確認してドアを開けて1秒間「二酸化塩素香スプレー」を噴射してドアを閉じます。

2秒後には2メートル離れた対面の測定器が0.06ppmを表示。その後変化がないのでシトミちゃんが測定器を手に天井や周囲の壁を測定。0.03~0.09ppmでバラツキがありました。予想通り床は濃度が0.15ppmまで上昇しております。驚いたのは二酸化塩素香スプレーで噴霧した後2時間経過しても濃度に変化が見られない事です。そこで送風機を回して換気してゲージがゼロになることを確認しました。恐らく1日経過しても最初の濃度は変わらないと思われます。実験は無事終了です。二酸化塩素の濃度はほぼ計算値通りでした。コロナウイルスは全て不活性化する筈です。

この結果は予想通り成功だったのだろうか。例によって真夜中中洲は布団の中でリビューします。・・すると重大な欠陥に気付きました。

このままでは商品としては使えないようです。確かに空中遊泳や床や壁やドアノブなどに付着したコロナウイルスは一気に不活性化するでしょう。しかし換気したら同時に二酸化塩素も全てお役目御免とばかりに部屋から飛び出しているようです。もう少し辛抱して第二波のウイルスを待ち受ける執念深さが必須です。簡単に対象物から剥がれずに付着して二酸化塩素を持続的に発生させねばなりません。その解決イメージが浮かんで来たところで今夜も夢の中に。