2005年から旅順の素敵な6月になると100kg程のチェリーを買って女子工員たちとジャムを作るのが年中行事になりました。老婆(ラオポ)いないし娘たちとそりゃ楽しい作業です。この仕事、失敗だと発色が悪いので勝負が早い。それには先ずチェリー選びです。沙蜜豆(シャミトウ)という新品種それも裏なりの小粒なチェリーが凄いホットピンクで味も抜群だと分かりました。
こんなチェリーだったら間違いありません。
老婆(ラオポ)から色落ちを防ぐには「火を止めてからレモンを絞って入れよ」と。しかし一個でもレモンの種がジャムに紛れ込んだらアウトだと脅されてポッカレモン100を採用。そしてNHKのガッテン番組で紹介されたレモンを冷凍して皮を擦って粉にして仕上げに入れるという隠し技を拝借しました。
次は加熱です。そもそもジャムは大量の砂糖それもグラニュー糖で煮込んで水分を飛ばすわけで組織も色も壊れて仕方がないのが常識です。
じゃあ沸騰を極力抑えて水分を飛ばすには真空低温調理しかない。そこで研究室のヤマテをそそのかして高価なエバポレーターを調達させてジャム作りに流用しました。この時からです。中洲語(乞食と社長は3日やったら辞められん)が飛び出すのは。
写真はそのエバポレーター。温浴はせいぜい60℃で先ずジャムの中の空気が大量の泡となって出ます。この時突沸に注意。次に水蒸気が冷却器に触れて水滴が溜まって行きます。この過程でレモンが上手い具合に悪い空気に置換されて長期間色落ちを防ぐのじゃないでしょうか。
同時に究極のジャム開発の必要に迫られて誰の造語か「乱心殿の変な開発」の数々に矛先が向いて行くのです。そして知恵を絞るのは何時も4畳半の本が降ってきそうなベッドの中。
旅順の工場で半加工したジャムの保管と輸送が問題に。試行錯誤の末、密封加熱殺菌と冷凍保管を考慮して食品用ナイロンラミネートのアルミフォイル採用して致命的問題が解け挑戦が継続できました。
余談ですがこの袋は鮮度を保つのに抜群で「お魚パック」として後に商品化。キヨタカにお魚百科からパクらせたデザインが気に入ってます。少し売れてるけどイオンの魚売り場にでも営業が売り込めばいいのにねえ。
さて次は日本でのジャム工場確保。そりゃ新事業挑戦は分かるが何も食品でそれもジャムなんかね〜。もしも役員のひとりが「社長どうぞどうぞ」とやったらそいつは大変なゴマすりで会社を潰すだろう。中洲が勝手にこさえて皆んなの目に少し触れるが黙殺出来るくらいがいい。そこで・・・。