アイパオの話(その39)

久し振りに魚植共生アイパオのその後について報告させて頂きます。可愛い魚たちに今日、大事件が発生したのです。

その前に我らの日常を紹介しておきましょう。開発小屋は10年ほど前、ルミカ創業仲間のドガワさんが戻って来たので中洲が発案しました。まあ年寄りの隠居小屋でも作ってやろうと大工を雇い仲間内でこさえたシロモノです。

居心地がいいので現在定住者5名にアドレスフリーで3名ほど出入りします。

何処の家庭でも平穏な生活に変調きたすのが犬や猫のペットのチン入でしょう。ルミカ開発館でも途中2匹の野良猫、ミカンとスズも同居しました。現在は35匹のサクラマスが新しいチン入者です。

今年2月のフィッシングショー大阪でアイパオの魚植共生館を世界で初めて公開しました。そこで「お魚が居なければね~」と元気なアッコが富山から持ち込んだのがサクラマスの稚魚2000匹。殺生も出来ず大阪から福岡まで必死に搬送しそれから始まった苦難の日々。何しろ魚たちは日に日に大きくなるので連日問題が起こります。日に3度の餌やりは勿論、先ず水温13℃キープ。おびただしい魚の糞尿除去、それに酸素注入です。ある時は酸欠で小魚達が一斉に口を四角にして顔を水面に出して悲しく喘ぎ、見る間に水中に沈んで魚ならず虫の息です。

どだい数が多すぎました。いろんな事件があってその都度ナカムラさんがネットで学習して対応。只今35匹の大きなサクラマスが震災救援用ジャグジーで泳いでおります。連中も早熟で、恋の追っかけっこばかりして僅か半年で産卵開始です。水は何度も精液で白く濁りそんな時は餌に見向きもしません。

その開発小屋の定住者の役割ですが。

毎朝のお魚の健康管理はアルバイトのナカムラさんの仕事。水温は14℃以下でチラーや温調管理はデンキ屋ドガワさん。水中とインターネット映像管理はヒメノさん。それに何でも加工屋のイワモトさんは専らアイパオ開発一途。自称発明屋の中洲士郎加えて都合5名。共通項はヒメノさん以外皆んな定年をとっくに過ぎていることです。

さてその事件の真相ですが、今日は怠けて少し遅めに倉庫に入ったナカムラさんが本当に目を丸くして「水槽の水が無くなって魚たちがアップアップやってる」と叫んで小屋に駆け込んできたのです。

真っ暗の倉庫一面が水浸しで装置は全部止まっております。「ああ遂にお終いか!」調べると水中ポンプのホースが中洲手製のろ過装置からジャグジーの外に飛び出しています。しかも水を10cm程残したところでタコ足配線がショートしてポンプ類が停止していたのです。奇跡的に残った僅かの水で魚達が息絶え絶えでした。

ドガワさんと中洲は懸命に乏しい水の中の魚に酸素吸入。他の3人はナカムラさんが遊びに行って 見つけた薬王寺温泉の裏手の清流まで300L水タンク2つ持って水汲みに出かけました。

1匹の死亡もなく無事に19℃の温泉で魚たちが泳ぎ始めたのは午後12時も過ぎておりました。

「こんなことって会社の仕事と関係有るんでしょうかねえ。真っ当な仕事して時給少し上げて貰えれば晩酌の発泡酒が本物のビールになるんですけどねえ」とナカムラ。「独り身をいいことにフィリッピンバーで散財しなきゃいいんだ」「バーじゃない安いパブだ」などと狭い水槽で騒動の魚たち同様に開発小屋でも久しぶりの賑わいでした。

確かに2000匹から減ったと言っても過密飼育の35匹のサクラマスです。動物虐待のそしりを受ける前に駐車場のアイパオ共生館を急いで復旧させて例の保育園の可愛い園児達をびっくりさせねば。「おーいイワモトさん頼むよう」です。

次回大きなサクラマスがアイパオドーナツ水槽で猛烈に回遊する姿をヒメノさん担当のBi見逃サーズでご覧に入れましょう。

Bi見逃サーズで撮影のこの魚、産卵に入りました。